トライアスロン専用ウエットスーツについて、知っておくべきこと、よくある疑問や選び方のポイントをまとめました。はじめてウエットスーツを買う方、次の一着の買い換えをお考えの方、どうぞ参考にして下さい。

 

POINT 1  

トライアスロンで使用するウエットスーツについて、正しく理解しましょう。

ウエットスーツには用途によって様々な種類があります。トライアスロン以外で一般によく知られているのが、ダイビングやサーフィン用です。それぞれ目的、機能面で違いがあります。

<ダイビング用>水中で体温を奪われないように「保温」する。岩やサンゴ、危険な生き物などから皮膚を「保護」する。

<サーフィン用>水中で体温を奪われないように「保温」する。岩やサンゴ、サーフボードなどから身体を「保護」する。波に巻かれたとき海面に「浮力」で浮上しやすくする。

<トライアスロン用>水中で体温を奪われないように「保温」する。「浮力」によって水中での姿勢を保ち「速く」「楽に」「安全」泳ぐ。水との抵抗を減らし「速く」「楽に」泳ぐ。トランジションでの時間短縮のため「脱ぎやすく」できている。

トライアスロン用ウエットスーツが他のウエットスーツと最も違うところは、「泳ぐ」ためにつくられ、「脱ぎやすく」できているという点です。そのためにスーツの生地、厚みなどが工夫され、「かたち」も数種類あります。大会によってウエットスーツの着用が義務化されていたり、推奨されたりしています。トライアスロンには専用に作られたウエットスーツを使用しましょう。

 

POINT 2

トライアスロン用ウエットスーツの種類と特徴は?

トライアスロン用ウエットスーツはかたちで大きく分けると2種類です。

 

<ロングジョン>上半身ー半袖、下半身ー長丈

・肩まわりに抵抗が無いので肩や腕を回しやすい。

・袖が無いので着脱がしやすい。

・夏に開催される一般的な国内大会で、水温がだいたい24℃以上であれば問題無く使用できる。

・フルスーツに比べて価格が安い。

<フルスーツ>上半身ー長袖、下半身ー長丈

・浮力が大きく水の抵抗も減るので、泳力(特に肩や腕のちから)にもよるが速く泳げる可能性がある。

・春~初夏の国内大会や海外大会で、水温が23℃以下になることが予想されるときは、保温のために袖がある方が望ましい。

・腕が浮くのでクロールでの前方確認(ヘッドアップ)が楽にできる。

・クラゲなどから皮膚を守ることができる。

 

さらに分けると、

<ワンピース>上下つながっている

・腰の部分に継ぎ目が無いので、水の抵抗が少ない。

・ツーピースに比べて価格が安い。

<ツーピース>ジャケットとパンツで上下に分かれている

・上下が分かれているので脱ぎやすい

・腕を伸ばしたとき腰のあたりの突っ張る感じが無い。

・ジャケットを「半袖」と「長袖」で揃えていると、水温などの状況によって使い分けができる。

 

POINT 3

オーダーメイドと既製品(レディメイド)ではどう違うのか?

それぞれの特徴は、

<オーダーメイド>身体のサイズを細かく採寸し、1人ひとりの身体にジャストフィットするように製作される。

・採寸の仕方や製作技術にもよるが、身体にフィットした状態で着ることができる。

・生地の種類や厚みなども、自分好みに細かく指定できる場合もある。

・注文から完成まで日数(数週間~)がかかる場合が多い。

・既製品に比べると価格が高い。

<既製品(レディメイド)>いくつかのサイズに分けてあらかじめ製作されたものの中から、それぞれの体型に合ったサイズを選ぶ。

・自分に合うサイズが見つかれば、身体にフィットした状態で着ることができる。

・海外メーカーの既製品は、欧米人の体型をベースに作られているため、日本人の体型にはフィットしにくい。

・生地の種類や厚みを指定することはできないが、製品にバリエーションがあれば選ぶことができる。

・いろんなサイズを試着してから購入できる場合もある。

・在庫があればすぐに手に入る。

・オーダーメイドに比べると価格が安い。

 

POINT 4

生地の厚みでどう変わるのか?

トライアスロン用のウエットスーツで使用される生地には、内部に無数の気泡があります。生地が厚くなれば浮力と保温性は増しますが、伸縮性は低下します。逆に薄い生地を使うと、浮力と保温性は低下しますが、伸縮性は増加します。

<スイムが得意ではない方>部分的に3~5mmの生地を使用すると、浮力が増しボディポジションが安定し、楽に速く泳げる可能性があります。

<泳力があり腕の動かしやすさを重視>部分的に2mmや3mm(フルスーツの袖は1mm)の生地を使い分け、伸縮性を高め身体の動かしやすさを求める。

オーダーメイドで製作する場合は、生地の厚みの指定が出来る場合が多いです。既製品でも「浮力重視」や「伸縮性重視」のモデルが選べる場合もあります。

 

POINT 5

初心者はどんなウエットスーツを選べばいいのか?

はじめてウエットスーツを購入する場合には、いろんな人にアドバイスをしてもらったり、自分で色々調べたりされていると思います。それぞれの人にそれぞれの意見があり、なかなか1つに絞り切れず、選ぶのに時間がかかってしまうかも知れません。ウエットスーツを選ぶとき迷うであろう項目をピックアップし、出来る限りシンプルに整理してみます。

 

<ロングジョンかフルスーツか?>

判断基準は「脱ぎやすさ」「水温」「スイムのタイムアップ」

「脱ぎやすさ」

トライアスロンのレースではスイムパートは一番最初です。各自が事前にウエットスーツを着用してからスタートラインに並びます。ですので着やすいかどうかは、ここでは判断基準に入れません。問題は、スイムが終わりバイクパートに移行する時に、「スムーズにウエットスーツが脱げるかどうか?」です。スイムが終わり全身が疲労している状態でウエットスーツを脱ぎ、バイクに乗るための装備(ヘルメット、グローブ、サングラス、シューズなど)を身に着け、バイクパートがスタートします。初心者の方はトランジションでの数秒程度のロスであれば、気にはされないかもしれませんが、心身ともに緊張している中で、ストレスなくスムーズにレースを進めることはとても重要です。

結論は、スイム後のウエットも身体も濡れている状態、そしてクロールで腕や肩が疲れた状態でと考えると、やはりロングジョン(袖なし)の方が脱ぎやすいでしょう。ただ、フルスーツの脱ぎにくさ対策として「ツーピース」というものが出てきましたが、それに関しては事項で詳しく説明します。

「水温」

POINT 2 でも説明しましたが、夏に開催される一般的な国内大会で水温が、24℃以上であればロングジョン。春~初夏の国内大会や海外の大会で水温が、23℃以下になることが予想される場合は、保温のためフルスーツがおすすめです。

となりますが、夏の暑い大会であってもフルスーツで参加されている方も多いです。そこは各自の脱水症状などに対する体調管理や、暑さに対する抵抗力などが左右してくるでしょう。逆に水温の低いレースでのロングジョンの使用は、低体温症の危険があり対策が難しいのでおすすめしません。多少の冷たさであれば、ロングジョンの下にサーフィン用のラッシュガードを着たり、アームカバーを付けたりする方もおられます。出場する大会が夏の国内大会だけの予定でも、事前練習で夏前やレース後の秋ぐちなどにオープンウォーターでトレーニングをする可能性がある方は、フルスーツがおすすめです。

結論は、夏の一般的な国内レース以外はまず出場する可能性が無く、トレーニングでも夏以外にオープンウォーターを泳ぐ事が無さそうならロングジョンで十分です。水温の低いレースへの出場や水温の低い時期にトレーニングをする可能性があればフルスーツです。

「スイムのタイムアップ」

フルスーツでは袖のある分水の抵抗が減り、浮力が増しロングジョンより速く泳げると言われています。

ただ、袖があるので肩や腕を動かす時の抵抗にはなりますので、そこはロングジョンに劣ります。

結論は、少しでもスイムのタイムアップを求めるなら、フルスーツ。ご自身の泳力(特に肩や腕の筋力)も必要。

タイムアップは特に求めず、ストレスなく肩や腕を動かせる方がいいのならロングジョンです。

 

<ワンピースかツーピースか?>

判断基準は「脱ぎやすさ」「泳ぎやすさ」

「脱ぎやすさ」

前項でも説明しましたが、トライアスロンのウエットスーツで脱ぎやすさはとても重要です。

結論は、ロングジョンの場合は、ワンピースでもツーピースでも脱ぎやすさに大きな違いは無いでしょう。フルスーツの場合はツーピースの方が圧倒的に脱ぎやすいです。

「泳ぎやすさ」

クロールで腕を前に伸ばす時、ワンピースではどうしても腰のあたりが引っ張られストレスがかかります。ツーピースは上下に分かれていますので、そのストレスは少なくなります。ただ、水の抵抗はワンピースのほうが継ぎ目が無いので少なくなります。

結論は、腰のあたりの引っ張られるストレスを極力無くしたければツーピース。それよりも水との抵抗を抑えたいのならばワンピースです。

 

<オーダーメイドか既製品か?>

判断基準は「フィット感」「価格」

「フィット感

トライアスロンのウエットスーツでなぜフィット感が求められるかというと、「安全に」「楽に」「速く」泳ぐためです。

身体より小さすぎたり伸縮性が低下したウエットスーツを着て泳いだ場合、締め付けによって息苦しさを感じ危険です。

逆に大きすぎると首回りや袖口に隙間が出来、そこから泳いでいる時に水が入っきて抵抗になり「楽に」「速く」は泳げません。

極力身体に合ったウエットスーツを着用するのが理想ですが、既製品でも自分に合ったサイズが見つかれば問題ありません。オーダーメイドで製作したものでも、年数が経ち硬化しているものでは、本来のフィット感が出ません。

結論は、完璧な「フィット感」にこだわりすぎる必要はありませんが、出来るだけ自分の身体にフィットしているウエットスーツを着用することをおすすめします。オーダーか既製品かよりも自分の身体にフィットしているかどうかの方が重要です。一般的な体型の方で、既製品で自分に合ったサイズが見つかれば問題ありません。一般的ではない体型の方は、オーダーメイドでの製作をおすすめします。

「価格」

結論は、製品の価格はまちまちですが、オーダーと既製品で金額にあまり差がないもので迷っているのであれば、オーダー品をおすすめします。既製品でお考えの場合は、可能であれば試着をして納得してから購入されることをおすすめします。そして、選べるのであれば生地の厚みなど自分の泳力に合ったものを見つけて下さい。

 

POINT 6

ウエットスーツの寿命はどれくらいなのか?

一般的には3年~4年程度と言われています。ウエットスーツの生地の中には気泡が無数に入っていますが、年数が経つとそれが縮み浮力が減少します。そして生地自体も硬化して伸縮性が無くなってきます。日頃のメンテナンスや保管方法によっても寿命は変わってきます。使用後(海かプールに関係なく)は水(お湯はダメ)で洗い、直射日光を避け陰干しして下さい。保管はしっかりしたハンガーで吊るすか、しわにならないよう軽く丸めるなどして下さい。

 

最後に...

いかがでしょうか?あなたのウエットスーツ選びに役立つ情報はありましたか?

トライアスロン用のウエットスーツに求められる条件は、「安全性」「体力の温存」「泳ぎやすさ」「脱ぎやすさ」です。

「安全性」

多くの大会が波のあるオープンウォーターや湖でスイムを行います。もちろん深さがありますので足はつきません。そして、集団で競い合いながら泳ぎますので、身体の接触も起こります。普段から練習しているプールとはいろいろと条件が違います。さらに精神的にも緊張やあせりが出てくるのが普通です。コース脇には監視員の方がいらっしゃいますが、多くの選手が同時に泳ぐ中、異常を素早く見つけるのは難しいでしょう。残念なことに実際にスイム中に事故も起こっています。事故の原因がウエットスーツにあるかどうかは分かりませんが、身体に合っていないウエットスーツの着用が危険を招くことは考えられます。本来浮力を高め安全のために着用するウエットスーツが、反対に事故の原因になるようなことの無いよう正しく選びましょう。

「体力の温存」

トライアスロンはスイム、バイク、ランの3種目を連続して行います。最後のランを走り切ってはじめて完走となります。スイムの後に続く種目のため出来るだけ体力をセーブするには、浮力がありより抵抗の少ない状態で泳ぐことが重要です。そのためにはウエットスーツのサイズも大事ですが、自分の泳力によって生地の厚みや袖の有無などもよく検討しましょう。

「泳ぎやすさ」

「体力の温存」と内容が重複しますが、フルスーツで浮力と水の抵抗が減少しても、袖があるため腕や肩を動かすのに抵抗を感じたり、体力を消耗してしまう場合もあります。ツーピースはクロールで腕を前に伸ばしたときの腰のツッパリ感は少ないですが、上下につなぎ目があり水の抵抗になります。このようにどちらにも長所短所がありますので、何を優先させるかをクリアにし、自分により合うウエットスーツを探して下さい。

「脱ぎやすさ」

次の種目への着替えや、装備を装着する時間(トランジションと言います)も競技の時間に含まれます。頑張ってスイムを上がってきても、トランジションで手間取ってしまうと、後から上がってきた人に抜かれてしまいます。精神的にダメージがありますし、あせりからバイクで実力が出せないこともあるかも知れません。スイム後は肩や腕に疲れが出ている場合が多く、ウエットスーツも水を含んだ状態で脱ぐことになります。レースでの肉体的・精神的状況を想定し、自分が時間をかけずに脱ぐことができるウエットスーツを選びましょう。

 

ウエットスーツ選びと並んで大切なことが、「ウエットスーツに慣れること」と「脱ぐ練習」です。

「ウエットスーツに慣れること

レース前にウエットスーツを着てみるだけでなく、実際に着用して何度か泳ぐことをおすすめします。本番に近い状態で試してみることで、気付くことや注意点などが見つかるものです。精神的にも余裕が出ます。

「脱ぐ練習」

これも本番に近い状態で試してみることをおすすめします。スムーズに脱ぐためのコツや注意点が見つかるはずです。脱ぐ練習が十分出来ていれば、自信をもってレースに臨めるでしょう。

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